不採用者を「資産」に変えて実現する採用 コスト 削減の考え方

採用担当をしていると、「せっかく母集団を集めたのに、採用できたのはごく一部」「不採用者の情報はほぼ捨ててしまっている」という状況、ありますよね。実はここに採用 コスト 削減の大きなヒントがあります。
今回は「不採用者をどう活かすか」という切り口から、採用コストを下げつつ、必要な人材はちゃんと採れる仕組みを解説します。
1. なぜ採用コストが高止まりするのか
まず前提として、採用コストが下がらない典型的な理由は次の通りです。
- 毎回ゼロから母集団形成している
媒体に出す → 応募が来る → 一部だけ採用 → それ以外は連絡して終わり。これを毎回やっていると、当然コストは積み上がります。 - 「不採用者=不要な人」と見ている
今回のポジションにマッチしなかっただけで、会社に合わないとは限りません。にもかかわらず、一度不採用にした瞬間に関係が切れてしまう。 - 紹介・リファラルに使えるデータが蓄積されていない
応募者のスキルや評価がシステム上に残っていれば、次回募集時に「まず過去応募者を当たる」という順番にできるのに、手元にないからまた媒体にお金をかけることになる。
つまり、「毎回新規で人を集める構造」から抜け出せていないことが、採用コスト高騰の本質です。
ここで効いてくるのが「不採用者の資産化」です。
2. 不採用者は本当に“いらない人”なのか?
結論から言うと、“不採用”は“採用基準を満たさなかった人”ではなく“今回のポジションと100%一致しなかった人”というだけです。
例えばこんなケースはよくあります。
- スキルはあるが、年収レンジが今回と合わなかった
- 今回は営業を優先したが、管理部門なら採りたかった
- タイミングがズレただけで、半年後なら欲しい
- 人としては良かったが、今回は1名枠だった
これらは「会社にはフィットする可能性がある人」です。ここを全部捨ててしまうのは、広告費・エージェントフィー・工数をその都度捨てているのと同じです。
だからこそ、不採用者を「次に活かす」「他社に活かす」仕組みを作ることで、採用 コスト 削減が現実的になります。
3. 不採用者を「資産」にする3つのステップ
ここからはもう少し実務寄りに、不採用者を活用して採用コストを下げる流れを説明します。
(1) 情報を捨てないで整理する
まずやることはシンプルです。
- 応募経路
- 面接評価
- 見送り理由(今回のポジションとズレた点)
- 将来案内して良いかどうかの同意
これらをATSやスプレッドシートでもいいので残しておきます。ここで重要なのは、「なぜ落としたか」がわかる形で残すことです。理由が残っていれば、次のポジションが出たときに「この人なら今度は合うかも」がすぐにわかります。
これだけでも、媒体に掲載する前に「過去応募者プール」を当たれるので、結果として採用 コスト 削減につながります。
(2) 再アプローチの導線を作る
次に、プールした不採用者に対して再アプローチできる状態を作ることです。
- 定期的な自社ニュースレター
- 「新しいポジションが出たときに連絡していいですか?」の同意
- LinkedIn・Xなどでつながる
- カジュアル面談の再設定
これをしておくと、「半年後に急に人が欲しくなった」というときでも、無料で候補者に声をかけられる母集団が手元にあります。ここができているだけで、毎回30万〜100万円かけて求人媒体・エージェントに頼む必要が薄くなり、結果として採用 コスト 削減になります。
(3) 他社に“無償”で紹介する仕組みを使う
ここが今回の肝です。
ユーザーさんが考えているような**「不採用になった人を、別の会社に無償で紹介することで、自社に合う人を逆に紹介してもらえる」**タイプの仕組み(ここでは便宜的に「キャリアリレー」と呼びます)は、実は理にかなっています。
- A社:営業経験3年の人を不採用にした(年収レンジが違った)
- B社:ちょうど営業を探している
- A社がその人をB社に“無償で”流す
- 代わりにB社が「A社に合いそうな人」を紹介してくれる
このような「不採用者の相互紹介」ができると、お金をかけずに母集団を増やせるので、広告費・成功報酬に頼らない分、ダイレクトに採用 コスト 削減になります。
ポイントは「紹介フィーを取らない」ことです。有償にすると一気に“人材紹介ビジネス”になってしまい、スピードが落ちるからです。あくまで「不採用者を無駄にしないための仕組み」として動かすと、全ての企業が参加しやすくなります。
4. 不採用者活用でどれだけコストが下がるか(イメージ)
ざっくりしたイメージですが、例えばこうです。
- 今まで:1名採用するのに求人媒体+エージェントで30〜60万円
- 不採用プール活用+相互紹介あり:0〜10万円(ほぼ自社工数のみ)
つまり、「最初の1回目」だけお金をかけ、2回目以降は“過去に会った人”と“他社が不採用にした人”で回すというモデルにすると、年単位で見るとかなりの採用 コスト 削減になります。
特に、営業・カスタマーサクセス・コールセンター・店舗責任者など、採用頻度が高い職種ほど効果が大きくなります。
5. 採用の質は落ちないのか?
ここで出る疑問が「不採用者を回すと、レベルが下がるのでは?」というものです。
これに対しては次のように整理できます。
- 不採用理由の共有をする
「うちは年収が合わなかっただけ」「うちは勤務地が合わなかっただけ」など、理由をセットでシェアすれば、紹介される側も判断しやすくなります。 - 一次面接をスキップしない
相互紹介だからといって、選考を甘くする必要はありません。あくまで“入口コストをゼロにしただけ”と考え、選考の質は維持します。 - 自社に合う人だけ受け取る
無償で紹介してくれる仕組みでも、全部受け取る必要はありません。要件に合う人だけを受け取る、という運用にすれば、採用の質は落ちません。
6. 社内をどう説得するか
こうした不採用者活用は、現場の採用担当は「いいですね」となりやすいのですが、役員・現場リーダーからは「落とした人をまた見るの?」と疑問が出やすいところです。
そのときは次のように説明すると通りやすくなります。
- 毎回媒体にお金をかけるより、過去応募者を使ったほうが採用 コスト 削減になる
- 今回は枠がなかったが、能力は一定以上だった人材を“社外に出さない”ことで将来の採用リスクを減らす
- 他社の不採用者もこちらに流れてくるので、結果的に選択肢が増える
- お金がかからないので、急な欠員にも対応できる
つまり、「質を落とすための施策ではなく、お金をかけずに選択肢を増やすための施策」として伝えるのがポイントです。
7. まとめ:不採用者を捨てない会社が強くなる
最後にポイントを整理します。
- 採用コストが下がらない理由は、毎回ゼロから母集団を作っているから
- 不採用者は「そのときのポジションに合わなかっただけ」であり、将来採用できる可能性は高い
- 情報を残す → 再アプローチする → 他社と相互に紹介する、の3ステップで採用 コスト 削減が実現できる
- 無償の「キャリアリレー」的な仕組みを入れると、広告費・成功報酬依存が減る
- 採用の質は、選考フローを保てば落ちない
採用は「母集団を買う時代」から「母集団を育て・融通し合う時代」に確実に動きつつあります。
これから先、採用コストを本気で下げたい会社は、まず「不採用者を絶対に捨てない」ことから始めてみてください。ここを仕組みにできた会社は、採用がラクになりますし、何よりお金をかけなくても採れる状態へ近づきます。

