【採用ブランド向上 事例】応募者もファンに変える仕組みとキャリアリレー活用法

はじめに:採用ブランドが“会社の顔”になる時代
人材の流動化が進み、求人媒体や採用チャネルが多様化する中で、 企業が「どんな人材を採るか」だけでなく、「どんな企業に見えるか」が重要になっています。 これは「採用ブランド(Employer Brand)」の強さが、応募数・母集団の質・採用コストにも影響を及ぼしているためです。
本稿では、「採用ブランドを向上させるための実践事例」を紹介しながら、 さらにキャリアリレーという“不採用者も資産に変える仕組み”を通じて、応募者をファン化・ブランド化する方法を解説します。
採用ブランド向上とは?その背景と意義
採用ブランドとは、企業が「働きたい」「応募したい」「紹介したい」と思われる“雇用主としての魅力”を築くことを指します。 この魅力には、給与・福利厚生・働き方だけでなく、企業文化・価値観・社員の声・候補者体験(CX)などが含まれます。
実際、ある調査では「魅力的な給与・待遇」「働きやすい雰囲気」「ワークライフバランス」が日本の応募者にとって上位のドライバーになっていることが示されています。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
採用ブランドを高めることにより、次のようなメリットがあります。
- 応募数増加・母集団の質向上
- 選考辞退・内定辞退の減少
- 早期離職の抑制・定着率向上
- 紹介・リファラル応募の促進
- 採用コストの削減(媒体費・紹介手数料など)
採用ブランド向上を実現した企業の事例
事例①:医療機器メーカー(日本市場) ― 女性比率50%超の採用目標をブランド戦略で突破
ある医療機器メーカーは、日本市場において「営業職・フィールドエンジニア職」の採用において、女性応募者が極端に少ないという課題を抱えていました。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
同社は、採用プロセスをアウトソーシングしつつ、全面的な採用ブランド戦略を実施しました。
- 女性リーダー・先輩社員を登壇させたWebセミナー開催
- キャリアサイト・求人票に「女性も活躍する環境」「柔軟な働き方」「メンター制度」の明記
- 人事データ・市場分析に基づいたターゲット設計(people analytics活用)
- 「Great Place to Work®」認証取得による社外アピール
その結果、6 か月以内に新規採用の51%が女性となり、採用目標を超過。 選考プロセスの期間も10%以上短縮したという成果を得ています。 このように、採用ブランドを整えることで、ターゲット人材層から選ばれる企業へと変化しました。
事例②:グローバル消費財メーカー ― アジア太平洋地域でのタレントブランド再構築
ある世界的な消費財メーカーは、アジアを含む複数国で“卒業直後の候補者に「長期キャリアの場」として見られていない”という課題を抱えていました。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
同社は、以下のような取り組みを実施しました。
- APAC向けにグローバルEVP(Employer Value Proposition)をローカライズし、各国の文化・価値観に合わせて展開
- 職場のストーリーを社員インタビュー・動画で発信し「ブランドとしての実像」を可視化
- キャンパス採用・インターンを通じてブランド接点を早期から構築
- デジタルキャンペーンとSNS活用で応募者エンゲージメントを拡大
これらにより、ブランド認知が向上し、応募数・質・ターゲット層の反応が改善されたという報告があります。
採用ブランド向上の実践ステップ
自社の採用ブランドを高めるために押さえるべきステップを整理します。
- 現状認識・課題整理
応募数・通過率・内定辞退率などのKPIや、候補者の声(選考辞退理由)を可視化。 - MY EVP(Employer Value Proposition)を明確化
自社が「どんな価値を提供できるか」「どんな社員が活躍しているか」を言語化。 - 候補者体験(CX)をデザイン
面接体験・フォロー連絡・お祈りメール・入社後までの接点を見直し、ブランドとしての統一感を保つ。 - 実践的なブランド発信
社員ストーリー・動画・SNS・メディア露出を活用し、ブランドの“リアル感”を伝える。 - 評価・改善サイクルを回す
応募数・質・辞退率・定着率等をモニタリングし、戦略をブラッシュアップ。
キャリアリレーと採用ブランド向上の融合
ここで、キャリアリレーという“不採用者活用”の仕組みを通じて、採用ブランド向上をさらに加速させる視点をご紹介します。
キャリアリレーとは、企業が不採用となった応募者10名を人材紹介会社に紹介することで、1人分の無料紹介枠を得られる仕組みです。企業はお祈りメールに専用リンクを貼るだけ、という手軽さが特徴です。
この仕組みが採用ブランドの向上につながる理由を整理すると、次のようになります。
- 候補者体験(CX)の好転)
「落ちても丁寧にフォローしてくれた」「将来のキャリアまで考えてくれた」という印象を持たれ、ブランドイメージが高まります。 - タレントプール形成)
不採用者であっても関係を断たず、自社に関心を持つ候補者として繋ぎとめることで、“ブランドファン”として育てられます。 - 紹介・リファラル採用増加)
良い印象を持った応募者が「この会社なら知人にも勧めたい」と感じることで、紹介ルートが活性化します。 - 採用コスト・効率改善)
ブランドが強まることで媒体応募数が増え、選考母集団が拡大。無料紹介枠も得られることでコスト面でも優位に立てます。
つまり、不採用者対応という“最後の接点”をブランド強化の起点に変える設計が、採用ブランド向上において非常に有効なのです。
実践にあたってのポイント・注意点
採用ブランドを向上させるためには、次のような点に注意が必要です。
- ブランド発信と実態の乖離を防ぐ)
SNSや求人媒体で魅力をアピールしても、選考プロセスや社内環境が合わなければ評価は逆転します。 - 一貫した候補者体験(CX))
応募から内定・入社後に至るまで、接点がバラバラではブランドとしての印象は弱まります。 - 不採用者フォローもブランド戦略に含める)
断るだけで終わるのではなく、次につなげる動線やメッセージを設けましょう。 - 定量・定性両面での評価)
応募数・通過率だけでなく、「この会社に応募して良かった」「知人に勧めたい」という候補者・社員の声も収集しましょう。 - 運用体制を整える)
ブランド向上は一過性のプロジェクトではなく、継続的な運用が必要です。人事・採用・マーケティングが連携して取り組む体制づくりを。:contentReference[oaicite:4]{index=4} - 採用ブランド=働きたい企業に見える力。給与・働き方・文化・体験が要素。
- ブランドが整っていると母集団の質・応募数・定着率が改善される。
- 事例では女性採用比率向上・グローバル展開ブランド再構築が成功要因。
- キャリアリレーを活用することで、不採用者対応をブランド強化の起点にできる。
- 発信・体験・運用を三位一体で設計し、継続して改善を回す体制が必要。

