キャリアリレー成功のためのポイント|不採用者を資産化して採用を変える“次の一手”

採用活動において、「不採用=終わり」としてしまっている企業は意外と多くあります。そこで今注目を集めているのが、「キャリアリレー」という仕組みです。企業が採用で不採用とした候補者を人材紹介会社に紹介し、一定数を紹介することで自社向けに無料紹介枠を得るという新しい人材戦略です。
しかし、仕組みを導入しただけでは“仕組み倒れ”になってしまうこともあります。今回は、キャリアリレーを「ただ導入する」から「しっかり成果を出す」ための成功ポイントを整理しました。人事・採用ご担当者の方は、ぜひ自社の運用設計と合わせてご覧ください。
1.不採用者データを「資産」として扱う意識づくり
まず前提として重要なのが、「不採用者を捨てるデータ=無駄」という捉え方から脱却し、「不採用者も次に活かせる母集団・紹介源になりうる」というマインドセットを社内で共有することです。
たとえば、候補者データベースの中で「今後3年以内に別職種・別部署で再応募あり」「推薦を出してくれる可能性が高い」などの属性を付与する運用を開始するだけでも、採用活動の視野が変わってきます。キャリアリレーを活用するには、このデータ活用の意識改革がスタートラインとなります。
具体的には:
- お祈りメールに添付するリンクを通じて、候補者が紹介登録できる仕組みを整える
- 不採用候補者のフォローアップを「無関係」ではなく「将来接点」として設計する
- 人材紹介会社との連携ルール(紹介対象/紹介除外)を明確にしておく
意識づくりが不十分だと、「リンクを貼っただけで誰も登録しない」「紹介枠を活用できず効果が出ない」といった典型的な落とし穴に陥りがちです。
2.候補者体験(CX)を丁寧に設計する
キャリアリレーの大きな魅力のひとつに、「不採用者に対しても丁寧な対応をしている企業」という印象を与えられる点があります。これは採用ブランディングにおいて、地味ながら強力な武器となります。
成功させるためには、以下のような設計が有効です:
- お祈りメールの文面設計:単なる“終了通知”ではなく、「これまでのご応募ありがとうございました。別の機会があればぜひ〜」という前向きかつ次につなげるトーンを採用。
- リンク設置のタイミングと導線:面接(または選考)終了後、なるべく早くお祈りメールを送付し、メール内で「ご希望があれば紹介登録も可能です」と案内。
- 登録・紹介後のフォロー設計:候補者が紹介会社に登録した後も、「紹介まで至りましたか?」「次のご希望はありますか?」などフォローメールを人事・紹介会社の双方で設計することで、体験質を高める。
このような設計を意識すると、「落ちたけど次がある」「対応が良かった」といった口コミが増え、企業イメージ向上にもつながります。それが結果として、応募数増加や母集団強化に結びつく好循環を生み出します。
3.紹介枠取得から活用までの運用設計
仕組みとして「不採用者10人紹介で1人無料紹介枠」といった条件が設定されていることが多いキャリアリレーですが、成功させるにはこの数値設計・運用設計の両面が重要です。
ポイントは次の通りです:
- 紹介対象の明確化:不採用者の中で“紹介可能な属性”を人事部門・採用パートナーと合意しておく。例:「職務スキル要件クリア」「面接合格者と同水準」など。
- 紹介数を意識した母集団設計:例えば10件紹介を達成するためには、何件応募・何件面接・何件不採用が出るかを逆算し、応募母集団を確保する計画を立てる。
- 無料紹介枠取得後の活用フロー設計:紹介枠を得たらすぐに活用できるよう、「紹介会社からの提案 → 面接 → 内定」という流れをあらかじめ設計しておく。
- KPI管理とモニタリング:紹介登録数、不採用者からの登録率、無料紹介枠取得数、紹介枠からの採用数、採用単価削減率などの指標を定め、毎月/四半期でモニタリング。
この種の運用が甘いと、「紹介枠は得たが使えず放置」「登録が想定以下」といった結果になってしまいます。運用設計をしっかり押さえておくことが鍵です。
4.チャネル・部門を横断した協働体制を築く
キャリアリレーを機能させるためには、採用チームだけでなく人材紹介会社、広報/採用ブランディング、データ管理部門など複数部門にまたがる協働が不可欠です。
例えば:
- 採用チーム:お祈りメール発信・候補者フォロー体制を構築
- 紹介会社:登録データの管理・紹介枠取得のプロセス確立
- 広報/採用ブランディング:体験設計がブランド価値向上にどう寄与するかを社内訴求
- データ管理/人事企画:KPI設計・効果測定・次の改善に向けた分析
このような体制ができていない企業では、「担当は誰だ」「登録データどこにある」「紹介枠どう使うか」などの混乱が起きやすく、結果として導入効果が薄れてしまいます。
5.継続改善とPDCAサイクルの実践
キャリアリレーの成功には「導入して終わり」ではなく、「運用して育てる」ことがポイントです。以下のような流れを習慣化しましょう:
- Plan(計画):初期KPI設定、登録導線設計、紹介対象ルール設計
- Do(実行):お祈りメールへのリンク展開、不採用者登録促進、紹介枠取得チャレンジ
- Check(確認):登録数・紹介枠取得数・採用数・採用単価削減などを定期集計
- Act(改善):メール文面改善、登録フロー簡略化、紹介対象基準見直し、部門連携強化など
例えば、登録率が低ければ「メールの開封率」「リンククリック率」「登録フォームの離脱率」を分析。無料紹介枠取得後に活用数が低ければ、「紹介枠活用までのタイムライン」「紹介候補のマッチ度」を見直します。
このように定期的な振り返りと改善を重ねることで、キャリアリレーは“仕組み”から“安定的な成果を上げる採用チャネル”へ昇華します。
6.まとめ:キャリアリレーを“仕組み”ではなく“力”に
改めて整理すると、キャリアリレーを成功させるためには以下のポイントが不可欠です:
- 不採用者データを資産と捉える意識づくり
- 候補者体験を丁寧に設計し、ブランド価値向上につなげる
- 紹介枠取得から活用までの運用設計とKPI設計
- チャネル・部門を横断した協働体制の構築
- 継続的な改善(PDCA)による運用成熟化
このようにキャリアリレーは、「不採用者10人紹介で1人無料紹介枠」というシンプルな仕組みですが、その真価を発揮するかどうかは、“運用の質”と“思想・体制”にかかっています。
もし、あなたの企業で「応募数はあるが採用コストが高い」「不採用者になった候補者を次につなげられていない」と感じているのであれば、キャリアリレー導入と同時に、上記5つの成功ポイントを意識した運用設計から始めることをお勧めします。
採用を“点”ではなく“流れ”として捉え直し、不採用を“終わり”ではなく“次の始まり”に変える。キャリアリレーを上手に活用して、今後の採用戦略を一段階アップグレードしてみてはいかがでしょうか。

