人材循環戦略の企業事例|キャリアリレーが描く“採用とキャリアの循環経済”

終身雇用の崩壊とともに、企業と人材の関係は大きく変化しています。 「採用して終わり」ではなく、「人材が社内外を循環しながら成長する」——これが今注目されている人材循環戦略です。 本記事では、人材循環戦略の概要と、実際にそれを実践している企業の事例、そしてキャリアリレーを活用した新しいモデルを紹介します。
1.人材循環戦略とは?
人材循環戦略とは、企業の内外で人材が循環する仕組みを構築し、採用・育成・転職・再雇用を有機的に結びつける経営戦略のことです。 人材を“囲い込む”のではなく、“社会的に循環させる”という発想で、持続的な人材確保と成長を両立させます。
この概念は、DX時代の労働市場において、「採用」「育成」「転職」「再雇用」を分断せず、ひとつのサイクルとして設計する考え方です。 その中で注目を集めているのが、「不採用者」「退職者」「出向・副業人材」などを有効活用するモデルです。
2.なぜ人材循環戦略が注目されているのか?
- 人材獲得競争の激化:採用市場が飽和し、新規採用コストが上昇している。
- スキル変化の加速:AIやDXにより必要スキルが短期間で変化するため、常に新しい人材循環が必要。
- キャリアの多様化:副業・フリーランス・再雇用など、働き方の選択肢が拡大している。
- 社会的価値の変化:人材を囲い込むよりも「活かし合う」企業が支持されるようになっている。
こうした環境変化の中で、人材循環戦略は「採用」「育成」「離職」「再活用」を包括的にマネジメントする新しい採用思想として位置づけられています。
3.人材循環戦略の構造
① 内部循環(社内モビリティ)
社内異動・ジョブローテーション・社内副業制度などを通じて、人材を企業内で循環させる。 スキルの再配置を行い、社員のキャリア成長を支援する。
② 外部循環(企業間・地域間)
出向・業務委託・転籍・再雇用などを通じて、他社・地域・団体との間で人材を循環させる。 地方創生や中小企業支援にもつながる形での循環が拡大中。
③ 採用循環(不採用者・退職者・紹介者の再活用)
不採用者や退職者も「企業との関係を切らない」ことで、再接触や再雇用のチャンスを生み出す。 ここにキャリアリレーのようなプラットフォームを活用することで、循環が加速します。
4.人材循環戦略を実践する企業事例
事例①:パナソニック(社内外副業の解禁)
パナソニックは2022年から社内副業・社外副業の両方を推奨。 社員が他企業で働く経験を「学び直しの一部」として位置づけ、帰任後に新しい事業を立ち上げるケースも。 人材が一度外に出て成長し、再び企業価値に貢献する循環を形成しています。
事例②:リクルート(アルムナイ採用の制度化)
リクルートは退職者(アルムナイ)との関係を維持する専用ネットワークを構築。 定期的な交流会や情報共有を通じて、再雇用・業務委託・紹介など、多層的な関係を形成。 これにより、退職者が再び採用や事業に関与する“循環経済”を実現しています。
事例③:サントリー(社外出向・地域循環)
サントリーは地方自治体やスタートアップへの出向制度を推進。 社員が地域での課題解決に取り組むことで、社会貢献とキャリア成長を両立。 出向後は社内外で活躍するケースが多く、企業と地域の双方に価値を生んでいます。
事例④:キャリアリレーを活用した中小企業ネットワーク
中小企業の採用では、人的資源の流動性が課題です。 そこで、キャリアリレーを活用することで、不採用者を他社に紹介し、紹介企業は無料採用枠を獲得。 人材が企業間で循環する仕組みができ、採用コストの削減と雇用の安定化が同時に実現します。
事例⑤:地方自治体 × 企業連携モデル
ある地方自治体では、地域内の企業が連携して「人材循環プラットフォーム」を運営。 退職者や不採用者を登録し、地元企業間でマッチングを実施。 結果、求人コストが従来比で40%削減され、地域全体の雇用安定につながっています。
5.キャリアリレーが創る“人材循環経済”の構造
キャリアリレーは、企業が10人の不採用者を人材紹介会社に紹介することで、1人分の無料紹介枠を獲得できる仕組みです。 この仕組みは単なるコスト削減手段ではなく、企業同士が人材を循環させる「新しい採用エコノミー」を形成します。
- 不採用者を資産化し、他社の採用機会につなげる。
- 紹介元企業は無料枠を得るため採用コストを削減。
- 紹介先企業は“即戦力候補”を得られ、採用精度が向上。
- 候補者は「不採用=終わり」ではなく、「次のチャンス」に進める。
こうした構造により、採用市場全体に“循環経済”が生まれます。
6.人材循環戦略導入のポイント
- 1. 人材データの整理と共有:社内外の人材データを一元化し、循環の基盤をつくる。
- 2. 退職・不採用データの再活用:候補者との接点を保ち、再アプローチできる仕組みを構築。
- 3. パートナー企業・自治体との連携:連携先を明確化し、人材移動のルールを定義。
- 4. キャリアリレー導入:不採用者を紹介することで循環を自動化し、無料採用枠を獲得。
- 5. KPI設定と可視化:再雇用率、紹介経由採用率、コスト削減率などを定期測定。
7.まとめ:人材を“囲い込む”から“循環させる”時代へ
これからの採用・人事戦略は「いかに多く採るか」ではなく、「いかに循環を生み出すか」が鍵になります。 人材が企業を行き来しながら成長し、企業同士が協働して価値を生む——それが人材循環戦略の本質です。
そして、キャリアリレーのような仕組みを取り入れることで、不採用者を次の採用資産に変え、人材・企業・社会の三方良しの採用循環が生まれます。 採用が“終わり”ではなく“続いていく”時代。今こそ、企業が人材循環の主役になるときです。

