キャリアリレー──不採用者を“活かす”ことで採用コストを回収する新モデル

採用活動の現場では、「不採用者」は必ず生まれます。
しかし、その不採用者をただ“落とす”存在にしてしまうか、それとも“資産”として活かすかで、企業の採用戦略は大きく変わります。

本記事では、不採用者を人材紹介会社に共有し、その見返りとして無償で候補者を紹介してもらう仕組み──**「キャリアリレー」**について詳しく解説します。
これは、単なる採用効率化ではなく、採用を循環型の仕組みへと変える革新的なモデルです。


手間なく、採用コストを回収へ。
不採用者を「機会損失」で終わらせません

  • 不採用者への対応コストや機会損失を解消し、収益として回収したい
  • 不採用者にも責任をもってアフターフォローを行い、企業ブランディングを向上させたい
  • 手間をかけずに、不採用者へのアフターフォローと、必要な人材の紹介を受けたい
目次

1. なぜ“不採用者”が企業の資産になりうるのか

多くの企業は採用コストをかけて母集団を集め、面接・評価・選考を行います。
しかし最終的に採用されるのはごく一部。残りの**「不採用者」こそが企業に眠る“採用データ資産”**です。

例えば、広告やエージェントを通じて1人採用するのに平均30〜50万円がかかります。
つまり、10人面接して1人採用する場合、9人分の選考コストが未回収のまま消えているのです。

キャリアリレーは、この「不採用者データ」を次の採用価値に転換する仕組みです。


2. キャリアリレーとは──採用を“循環”させる新しい構造

キャリアリレーは、企業が自社の不採用者を人材紹介会社に共有し、
その代わりに紹介会社から“無償で候補者を紹介してもらう”モデルです。

仕組みはシンプルです。

  1. 企業Aが不採用者の同意を得て、人材紹介会社に情報を提供
  2. 人材紹介会社はその不採用者を他社に紹介し、成約すれば紹介報酬を得る
  3. 見返りとして、紹介会社はA社に対し「無償で候補者を紹介」

これにより、A社は不採用者を活かしながら、
採用コストを“回収”しつつ新しい人材を獲得できるという構造が生まれます。


3. 三者が“得をする”仕組み

立場メリット
企業(不採用を出した側)採用コスト削減/不採用者への誠実対応/人材紹介会社からの無償紹介枠獲得
人材紹介会社新しい候補者データを獲得/マッチング成約で報酬を得る
候補者(不採用者)不採用でも別のチャンスが得られる/キャリア支援が受けられる

キャリアリレーは、「企業 × 紹介会社 × 候補者」三方良しの採用循環モデルです。


4. 不採用者を紹介するフロー

ステップ①:候補者の同意を得る

「今回はご縁がありませんでしたが、あなたのご経験を活かせる企業を
提携する紹介会社を通じてご紹介することも可能です。
ご希望の際は、こちらのフォームからお知らせください。」

この一文を不採用メールに添えるだけで、候補者の再チャレンジが生まれます。


ステップ②:人材紹介会社にデータを共有

  • 候補者の職歴・スキル・希望条件を安全に共有(個人情報保護に基づく同意書を取得)
  • 共有形式はExcel・スプレッドシート・API連携など柔軟に設定可能

紹介会社はこの情報をもとに、他社への紹介を行います。


ステップ③:成約報酬が発生し、企業Aに“無償紹介枠”が発生

候補者が別企業で採用されると、紹介会社には通常どおり報酬が入ります。
A社は「候補者を提供した」対価として、
**一定人数分の無償紹介(例:1名提供=1名紹介)**を受けられるようになります。


ステップ④:紹介会社からの無償候補者紹介

  • 無償でマッチする候補者を紹介
  • 条件マッチ後に採用成立すれば、A社は採用コスト0円

つまり、A社は「不採用者を出すこと」で次の採用資産を手に入れるのです。


5. キャリアリレーが解決する3つの課題

① 採用コストが高い

求人媒体・人材紹介・スカウトなど、採用経路の多くは“支出型”です。
キャリアリレーは「不採用者を渡すことで採用を得る」ため、支出ではなく“交換”で完結します。


② 不採用者への印象悪化

不採用通知で終わらせず、「別の会社をご紹介できます」と伝えることで、
不採用体験が“感謝される体験”に変わります。
SNSや口コミ上でも「誠実な企業」として好印象を得られます。


③ 人材の取り合い構造

同業他社が同じ媒体で同じ候補者を奪い合う構造から、
企業間が協力して人材を循環させる構造へ転換できます。


6. キャリアリレー導入のポイント

項目内容
契約設計紹介会社と「候補者提供スキーム契約」を締結
候補者の同意取得メールまたは専用フォームで承諾を明文化
データ管理個人情報保護法に基づき、第三者提供範囲を明確化
交換レート設計候補者1名提供につき1名無償紹介などをルール化
運用連携不採用メール〜紹介会社連携までの自動フロー化(ATS連携推奨)

7. 導入事例(モデルケース)

例:営業代行会社A社

  • 年間200人が応募し、採用は20人。不採用者180名をキャリアリレーに登録。
  • 登録された候補者のうち30名が他社で採用され、人材紹介会社に報酬が発生。
  • その結果、A社には30名分の無償紹介枠が付与。
  • 翌年の採用コストは前年より約60%削減。

また、不採用者から「別の企業を紹介してもらえて嬉しかった」という声も多く、
企業ブランド価値の向上にもつながった。


8. キャリアリレーの広がりがもたらす未来

キャリアリレーが広がれば、
「採用できなかった人」も「採用しなかった企業」も報われる世界が実現します。

  • 採用活動が“競争”から“循環”へ
  • 不採用者が“機会損失”から“価値創造”へ
  • 企業同士が“奪い合い”から“助け合い”へ

これは、単なる採用改善ではなく、**「人材を循環させる新しい経済圏」**の創出です。


9. まとめ:不採用は終わりではなく、“次の採用の始まり”

キャリアリレーは、

  • 不採用者を紹介会社へ
  • 紹介会社から無償で候補者を獲得
    という、採用を「つなぐ」「循環させる」革新的なモデルです。

採用はこれまで“コスト”として扱われてきましたが、
今後は“不採用者を活かすことでコストを回収する仕組み”へと変わります。

不採用は終わりではない。
それは次の採用のスタート地点であり、企業の新しい資産になる。

キャリアリレーは、その新しい採用の常識をつくる第一歩です。

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