採用を資産化する時代へ|不採用者を活かす新しい採用戦略「キャリアリレー」

採用活動は、多くの企業にとって「毎回コストが発生する投資型の活動」と捉えられています。
求人広告を出し、人材紹介に支払い、面接を重ねる――。
しかし、その努力の結果として生まれる「応募者データ」や「不採用者情報」を、次の採用につなげられている企業はまだ多くありません。
いま、注目されているのが採用の資産化という考え方です。 一度の採用活動で得たデータを“使い捨て”にせず、企業の成長に役立つ採用資産として蓄積・活用する。 その具体的な仕組みとして注目を集めているのが、キャリアリレーです。
採用資産化とは?
採用資産化とは、採用活動で得たデータや関係性を「将来の採用活動に活かす資産」として再利用する考え方です。
たとえば次のような情報が、資産としての価値を持ちます。
- 過去の応募者情報(スキル・志向性・評価)
- 不採用理由や選考データ
- 選考を通じて得た市場感・給与水準
- 候補者とのコミュニケーション履歴
これらを適切に保存・分析し、次回の採用に活かすことで、採用コストの削減やマッチング精度の向上が可能になります。 つまり「採用を資産として運用する」という発想です。
採用資産化が注目される理由
日本の採用市場は年々競争が激化し、求人広告費・人材紹介手数料は上昇の一途をたどっています。
一方で、企業が自社に応募した膨大な候補者情報を「削除」しているケースがほとんど。 せっかくの貴重なデータが、採用終了と同時に消えてしまっているのです。
これを「蓄積」「再利用」「共有」できれば、採用はコストではなく資産になります。
不採用者こそ最大の採用資産
採用資産化の中でも、特に見逃せないのが不採用者データの活用です。
不採用者は「採用されなかった人」ではなく、「自社に興味を持ち、応募してくれた人」です。 彼らのデータは、自社の採用力を高める貴重なリソースです。
この不採用者を再び活かす仕組みとして登場したのが、キャリアリレーです。
キャリアリレーとは?
キャリアリレーは、企業が自社の不採用者を提携する人材紹介会社に紹介することで、10名の不採用者紹介につき1名の無料採用枠を獲得できる仕組みです。
企業は自社に合わなかった候補者を共有し、その見返りとして無料採用の権利を得ることができます。 これにより、これまで削除していた不採用者データが採用資産として循環します。
導入はお祈りメールを変えるだけ
キャリアリレーの導入方法はとてもシンプルです。
特別なシステム導入は不要で、既存の「不採用通知メール(お祈りメール)」を専用テンプレートに変更するだけ。
候補者が希望すれば、提携紹介会社を通じて他社に紹介され、自社は紹介件数に応じて無料採用枠を受け取れます。 まさに「採用資産化」を誰でも簡単に実現できる仕組みです。
採用資産化のメリット
① 採用コストの削減
10人の不採用者紹介で1人を無料採用できるため、実質的に採用単価を引き下げることが可能です。 採用費を“支出”から“資産運用”に変えられます。
② 採用データの蓄積と再利用
応募者のスキルや評価をデータとして蓄積し、次回以降の採用判断に活かすことができます。 「なぜこの人は不採用だったのか」「どんな人が内定に至ったのか」を分析することで、採用精度の向上が期待できます。
③ 候補者体験・ブランド向上
不採用者に新たな機会を提供することで、候補者からの印象が向上します。 「不採用でも次のチャンスを紹介してくれた会社」として、企業ブランド価値を高めることができます。
採用資産化を進めるための3ステップ
- データを残す 応募・面接・不採用データを削除せず、活用可能な形で保存します。
- 再活用の仕組みを導入する キャリアリレーなど、不採用者を再利用できるシステムを活用します。
- 分析して改善する データを基に採用活動を振り返り、PDCAを回すことで資産価値を高めます。
まとめ:採用は「支出」から「資産」へ
採用は、もう「毎回ゼロから始めるもの」ではありません。 一度の採用活動で得たデータや候補者情報を再利用することで、採用は資産として積み上がる時代に入りました。
キャリアリレーを導入すれば、不採用者が次の採用を生み出すという循環が生まれ、 採用コスト削減とブランド向上を同時に実現できます。
お祈りメールを変えるだけで、採用の価値が変わる――。
それが、「採用資産化」の第一歩です。

