不採用の流れを見直す──“落とす採用”から“繋ぐ採用”へ

採用活動では、すべての応募者を採用できるわけではありません。
しかし、多くの企業が見落としているのは「不採用の出し方」で会社の印象が大きく変わるということ。
この記事では、**「不採用の流れ」**をテーマに、
候補者にも企業にもプラスになる「理想的な不採用プロセス」を解説します。
目次
1. 不採用の流れ(一般的なプロセス)
まずは基本的な不採用の流れを整理してみましょう。
| フェーズ | 内容 | 改善ポイント |
|---|---|---|
| ① 書類選考 | 応募書類を確認し、条件やスキルを比較 | 自動返信で受付完了を通知。応募者の安心感を作る。 |
| ② 一次面接 | 人柄・カルチャーマッチを確認 | 面接時に「結果連絡の目安」を必ず伝える。 |
| ③ 最終面接 | 条件やモチベーションを最終確認 | 面接後はできるだけ早く結果連絡(3日以内)を目指す。 |
| ④ 不採用連絡 | メールまたは電話で通知 | テンプレで終わらせず、「理由」や「今後の接点」を明示。 |
| ⑤ データ保存・再活用 | 不採用者情報をATS・シートで管理 | 「再アプローチ」「キャリアリレー」につなげる。 |
この中で特に差がつくのは、④不採用連絡と⑤データ活用です。
多くの企業はここを「単なる後処理」として終わらせていますが、
実はここにこそ“採用の改善余地”が眠っています。
2. 不採用通知の理想的な流れ
🔹 ステップ①:不採用理由を社内で明確にする
候補者に説明できるレベルで「なぜ採用しなかったのか」を整理しましょう。
- 条件面(勤務地・年収など)
- タイミング(入社時期・枠の有無)
- 経験・スキルの差
- 他候補優先
💡これを明確にすることで、次回採用の改善ポイントにもつながります。
🔹 ステップ②:不採用連絡のトーンを統一する
📩 理想のメール例:
件名:選考結果のご連絡(株式会社〇〇)
〇〇様
このたびは弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
選考の結果、今回はご期待に沿うことができませんでしたが、
面接を通して〇〇様のご経験・お人柄を知ることができ、大変貴重な時間をいただきました。今後、条件やポジションが合致した際には、
改めてお声がけをさせていただければと存じます。末筆ながら、〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
株式会社〇〇 採用担当 △△
ポイント:
- 「今回はご縁がなかった」だけでなく、「今後の関係性」を示す。
- 感謝と敬意を込める。
- 次回アプローチを見据えた文面にする。
🔹 ステップ③:データベース(ATS・スプレッドシート)に登録
候補者データを残すことで、**“一度出会った人を再利用”**できます。
記録項目例:
- 名前/応募職種
- 不採用理由タグ(例:年収NG/条件ズレ/再応募希望)
- 再アプローチ可否
- コメント(良い点・気になった点)
🔹 ステップ④:半年後フォロー or キャリアリレーに活用
- 半年後:「条件変更」「新ポジション」で再案内メールを送る
- 他社紹介:「自社で採用できなかったが優秀な人材」を信頼できる企業に紹介
これで、不採用者が**“次の採用母集団”**として機能します。
3. 不採用フローを改善することで得られる3つの効果
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| ① 採用コスト削減 | 不採用者DBから再応募・紹介が生まれるため、媒体費が減る。 |
| ② 採用スピード向上 | 書類選考済みの候補者を再活用でき、選考期間が短縮。 |
| ③ ブランド向上 | 丁寧な不採用対応が口コミで広がり、応募数が増加。 |
4. 中小企業でもできる「不採用の仕組み化」
- スプレッドシートで候補者一覧を残す
- 不採用通知テンプレートを統一する
- 「再連絡可否」をメールで確認する
- 半年後リマインドをカレンダーに登録
- 他社との“キャリアリレー”ネットワークを作る
これだけで、「落とす採用」から「繋ぐ採用」に変わります。
5. まとめ:不採用の流れを変えれば、採用が強くなる
- 不採用連絡は、単なる終了ではなく“次の出会いの始まり”
- データを残し、再アプローチ・紹介に繋げる
- 不採用対応の質が、採用ブランドとコストを左右する
- 「丁寧に落とす会社」こそが、長期的に人が集まる会社


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