お祈りメールの目的──「断る」だけではなく、「信頼を残す」ために

採用活動のなかで、不採用通知(通称「お祈りメール」)は避けて通れないプロセスです。
しかし、その目的を「結果連絡」だけと考えてしまうと、企業にとっても応募者にとっても損失になります。
この記事では、「お祈りメールの目的」をテーマに、
その本質・役割・ブランド視点での効果を詳しく解説します。
1. 「お祈りメール」とは
「お祈りメール」とは、採用選考で不採用になった応募者に対し、
選考結果を通知し、今後の活躍を“お祈りする”意味を込めて送るメールです。
かつては形式的に送られることが多く、テンプレート的な文面が主流でした。
しかし、近年では採用市場の競争激化により、
「どのように落とすか」=企業の信頼を左右する要素となっています。
2. お祈りメールの3つの目的
① 選考結果を明確に伝える(事務的目的)
最も基本的な目的は、「選考結果を明確に伝える」ことです。
候補者が次の行動(他社選考・再応募など)に移れるよう、
結果を早く・明確に・誤解なく伝えることが重要です。
💡ポイント:
- 結果連絡の遅れは不信感を生む(目安:面接後3営業日以内)。
- 曖昧な表現よりも、「今回はご期待に沿えなかった」という明確な表現を。
② 候補者との関係を終わらせず、“残す”ため
お祈りメールの本当の価値は、「不採用者との関係性を保つ」ことにあります。
特に近年は、再応募・リファラル・キャリアリレー(他社紹介)といった
“不採用者の再活用”が注目されています。
つまり、不採用メールは「落とす」ではなく「つなぐ」ためのメッセージ。
次の採用チャンスにつながる**“関係の継続”**を意識することが重要です。
📩 例文一文追加:
今回はご縁がございませんでしたが、条件やポジションが合う際には改めてご連絡を差し上げることもございます。
これだけで、候補者は「またチャンスがある」と感じ、印象がまったく違います。
③ 企業ブランドを守り、好印象を残すため
お祈りメールは、候補者にとって企業との最後の接点です。
たとえ不採用でも、最後の対応が丁寧であれば、
「誠実な会社だった」「また受けたい」と好印象が残ります。
逆に、
- 返信が遅い
- テンプレすぎる
- 呼び捨て・誤字脱字
などの対応は、SNSや口コミ(OpenWorkなど)で悪評につながる可能性もあります。
つまり、お祈りメールは「結果通知」だけでなく、採用ブランディングの最終工程なのです。
3. お祈りメールを“ブランド資産”に変えるポイント
| 目的 | 実践方法 |
|---|---|
| 誠実な印象を残す | 感謝と敬意の文面を重視(例:「ご応募いただき誠にありがとうございました」) |
| 関係を継続する | 「再応募歓迎」「今後の機会があればご案内します」など前向きな表現を加える |
| 不採用体験を改善する | 丁寧な言葉・迅速な返信で“人間的温かさ”を伝える |
| 採用コストを回収する | キャリアリレー等を組み合わせ、不採用者を紹介会社に共有(本人同意の上) |
4. お祈りメールと「キャリアリレー」の相性
あなたが構想しているキャリアリレー(不採用者を人材紹介会社に送り、
紹介会社から無償で人材を紹介してもらう仕組み)は、
お祈りメールの“第2の目的”をさらに発展させるものです。
従来のお祈りメールは「ご縁がなかった」で終わっていました。
しかしキャリアリレー型のメールでは、次のように“希望”を提示できます。
📩 キャリアリレー対応版一文例
弊社での採用には至りませんでしたが、〇〇様のご経験を活かせる企業を
提携の人材紹介会社を通じてご案内できる場合がございます。
ご希望の際は、以下フォームよりご連絡ください。
これにより、候補者は「不採用でも応援された」と感じ、
企業への好感度が大幅に向上します。
さらに企業側も、不採用者データを紹介会社経由で再活用できるため、
採用コストの“回収”も可能です。
5. お祈りメールを送る際の注意点
- 個人情報の誤送信に注意
(宛名・宛先・Cc/Bccを必ずチェック) - 返信不要を明記してもOK
(候補者の心理的負担を減らす) - 文体を統一(です・ます調)で統一感を出す
- 社名・日付・ポジション名の誤記を避ける
6. まとめ:お祈りメールの目的は「断ること」ではなく「残すこと」
- お祈りメールの目的は、
① 結果を伝える
② 関係を残す
③ 企業ブランドを守る
という3つの柱で成り立っています。 - キャリアリレーのように“不採用者を活かす仕組み”を組み合わせると、
お祈りメールは単なる通知ではなく、採用資産を増やすツールになります。
不採用は終わりではなく、「次のご縁をつなぐ入口」。
お祈りメールは、“断るため”ではなく、“信頼を残すため”に送るものです。


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